液体の混合物の分離 蒸留の実験
学習の目的
沸点の違いを利用して2つの液体が混ざった混合物から一方の物質を分離できることを見出し、理解する学習をします
学習の目標
沸点の違いを利用して混合物から物質を分離できることを見出します。また、採取した蒸気の温度によって得られるエタノールの濃さが異なることを見出します。枝付きフラスコを用いた蒸留は、枝管付近の蒸気の温度を計り、枝管から最初にエタノールが濃さの特徴を調べます。
方法は、採取する時間に差を設けて、3本の試験管に凝縮した液の違い設けます。採取した液を蒸発皿のろ紙にしみこませて火をつけます。火が付くかどうかや炎の勢いなどで含まれているエタノールの濃さの違いを判断します。
センサを使う利便性
センサはステンレスのシールドの先端部分にあります。その感度が良くて、温度が細かく変化するのがわかります。
この実験では沸騰してからの温度変化が急激です。精確な変化を捉えることが難しい実験ですが、センサとパソコンで記録を残すことで、試験管の溶液につけた火の炎の結果と合わせて分析が可能になります。
それに加え、さまざまな条件での変化を調べることが可能になります。
使用する製品
E31-8200-16 Go Direct 温度センサ GDX-TMP
F35-5040 鉄製スタンド G-fit
S75-1034-02 枝付フラスコセット 100mL
F35-6408 理科実験用ガスコンロ GS2-2000N
F35-1470 色付き蒸発皿
用意するもの
計測・・・タブレットPC、温度センサ
試料・・・水、エタノール(赤ワインもおすすめ)
装置・・・鉄製スタンド、枝付きフラスコ(100ml)、穴あきゴム栓
加熱・・・バーナー、マッチ、灰皿、三脚、三角架、網付きグラスウール、沸騰石
冷却・・・試験管(3本)、ビーカー(300ml)、ゴム管、ガラス管、試験管立て
分析・・・蒸発皿(3枚)、ろ紙(小さい短冊 3枚)
安全・・・ゴーグル、ぬれ雑巾
実験の手順
① 鉄製スタンドに自在はさみでくわえて枝付きフラスコを取り付けます。
② エタノールの濃さは15%~10%程度がよいです。
③ 混合物の量は枝付きフラスコの容量の半分以下にします。教科書では10ml~25mlぐらいです。
いれるとき枝管に入らないように気を付けてください。
④ フラスコに沸騰石を2~3粒入れて、弱火であたためます。
⑤ 枝管付近の温度を計りながら、試験管に蒸発した気体を凝縮させ水溶液を集める。同じ量の液体を3本集めます。
⑥ 3つの蒸発皿にろ紙片を入れて、各々の試験管の液体をしみ込ませ、火をつけます。
⑦ 蒸留した液体が燃える炎の様子から、エタノールの濃さを判断します。
実験結果
1、 実験装置にもよりますが、100mlの枝付きフラスコの場合、水溶液の量については10%~15%のエタノール水溶液に調整し、使う量は10ml~25mlで行われています。
2、 弱火で加熱して、枝管の口付近の温度は緩やかに上がります。
3、 図2の事例では、100秒経過したところで、沸騰現象が見られました。沸騰して蒸気の発生が増えて、蒸気の温度が急激に上がるようすが見られます。
4、 数mlの蒸留液を進めて、3本の試験管に蒸留した液を集めます。
学習指導事例
中学1年生 理科 1分野「物質」の単元の指導事例
実験の様子
ろ紙と蒸発皿で火をつけて、炎の様子で濃さを確認します。
最初に採取した蒸気が、エタノールが濃いことがわかります。
順番にエタノールの濃さが薄くなります。3番の蒸発皿は火が付かないことが多いです。
参考資料
探究6「水とエタノールの混合物を分ける」「科学」1 学校図書 p117~p122
実験7「エタノールと混合物の加熱」「未来へ広がるサイエンス」1 啓林館 p189~p193
探究7「水とエタノールの混合物を分ける」「新しい科学」1 東京書籍 p128~p131
学習指導要領
中学校学習指導要領(平成29年度告示)解説 理科編 第2章理科の目標及び内容
(3)身の回りの物質 (ウ)状態変化、㋑物質の融点と沸点