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中学校理科2年生 1分野「電流とその利用」

電磁誘導 コイルに発生する電流

電磁誘導 コイルに発生する電流
図1 実験装置

学習の目的
コイルと磁石の相互運動で誘導電流が得られることを観察、実験を通して見出して分析して解釈し、そして直流と交流の違いを理解する基礎の学習をします。


学習の目標
電圧センサ・コイル・磁石を用いて、磁石またはコイルを動かすことで誘導電流が流れること、磁石又はコイルを動かす向きや磁極を変えることにより誘導電流の向きが変わることなど、これらの性質を見出して理解する学習ができます。
その際、磁石やコイルを動かす速さ、磁石の強さ、コイルの巻き数などの条件を変えて行い、誘導電流の大きさとの関連を見出せるかどうか、結果から分析して解釈させる学習ができます。

センサを使う利便性

電磁誘導は瞬間的な現象が多く、アナログの検流計では正しく捉えることや記録を残すことは難しいです。
センサを使うことで瞬間的な現象を捉えることが可能になります。

また、グラフで表すことで、磁石の動きと電圧の大きさの関連を記録に残し、結果から分析し解釈することが可能になります。
そのため、条件設定を変えることで、容易に探究の課題にすることができます。

使用する製品
E31-8200-11 Go Direct 電圧センサ GDX-VOLT
B10-3001 棒磁石 H-150
B10-4710 簡易コイル(600回巻)
B10-6530 リード線両ミノムシ MM-5
F35-5040 鉄製スタンド G-fit

用意するもの
パソコン(タブレットPC)

実験の手順
① 鉄製スタンドにコイルを自在はさみでくわえて固定します。
② 電圧センサとコイルをミノムシクリップ付きコードでつなぎます。

③【操作1】棒磁石を下向きにして持ち、コイルに入れたり抜いたりします。そのときN極を入れるようにします。
それを何度か繰り返します。

④【操作2】3の操作を手の動きの速さを変えてみます。

⑤【操作3】N極とS極を上下逆さまにして持ち、3と同じ操作を行います。

⑥【操作4】N極を下向きに持ち、コイルの端のあたりを棒磁石で左右に横切ります。磁力線がコイルを通過するようにします。

実験結果

図2 棒磁石のN極を下向きにして出し入れしたときの電圧

棒磁石を手で持ち、N極からコイルに入れたり抜いたりします。そのときコイルに発生する電圧を計ります。実験の条件は、コイル1つにN極の磁石を下向きにして、コイルの上から出し入れします。
この実験の設定では、磁石をコイルに入れるときプラス(+)の電圧が発生し、抜くときはマイナス(―)の電圧が発生するようにしてあります。

【操作1】
磁石を往復運動させると、磁石の動きはいったん止まるので、電圧が0Vになる様子がグラフに現れます。
電圧の大きさをグラフで知ることができます。

図3 棒磁石の速さを変えて出し入れしたときの電圧

【操作2】
磁石を速く動かすと、最大の電圧が高くなることがわかります。これらの結果から、コイルの中にある棒磁石を抜き取る動作の方が速く、電圧が高くなるようすも確認できます。手の動きの違いも見出すことができます。

図4 S極を下向きにして出し入れしたときの電圧

【操作3】
磁石のS極の向きを下にして、同様の操作をします。電圧が抜くときはプラス(+)の電圧になります。このことによって、磁石の向きを変えると、電圧の向きも変わることを知ることができます。

図5 コイルの上を棒磁石が通過したときの電圧

【操作4】
N極を下向きにして、コイルの上を棒磁石が横に通過したときの電圧です。おおよそ一定の速さで通過するため、コイルの付近で磁石の速さに大きな変化がありません。
そのたため、電圧がプラス(+)からマイナス(-)に変化しているのがわかります。
発展の内容です。磁界の大きさの変化と電圧の大きさについて関連づける学習の課題として考えられます。

学習指導事例
中学2年生 理科 1分野 『電流とその利用』の単元の指導事例

参考資料

実験8「コイルと磁石による電流の発生」 「新しい科学」2 東京書籍 p282~p285
実験8「発電のしくみ」 「未来へ広がるサイエンス 2」 啓林館 p272~p275


学習指導要領

中学校学習指導要領(平成29年度告示)解説 理科編  第2章理科の目標及び内容
(3)電流とその利用 (ア)電流、㋒電気とそのエネルギー