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2024年 自然科学写真シリーズ

写真:伊知地 国夫

2024年1~2月 プリズムによる色彩模様

ハロゲンランプの光をプリズムに入れて虹色に分け、分かれた光をさらにもう一つのプリズムにあてた。すると、プリズムに入る光と外側を直進する紫色の光に分かれた。プリズムに入った光は内部で反射して色の順序が逆になって外に出て、ちょうど角の部分にあたった赤い光だけが2方向の細い光に分かれ、不思議な色彩の模様になった。プリズムの角度を変えると色の配置も大きく変わり、意図しない模様ができあがる。これも、プリズムを使った実験の楽しみだ。

2024年3~4月 赤インクの結晶模様

スライドガラスに万年筆用の赤インクをたらしてのばし、少し温めてからカバーガラスをかけずに放置する。水分が蒸発するにともない、溶けていた色素の結晶が現れる。結晶化がはやいので大きな結晶にならず、微細な結晶の集まりの縞状の模様が現れる。肉眼では良く見えないが、顕微鏡で観察すると不思議な縞模様の世界が広がっていた(撮影時倍率約24倍)。

2024年5~6月 水滴に映る景色

葉に霧をかけると、葉についた水は次第に集まって表面張力で水滴になる。そして、1つ1つの水滴には、よく見ると後ろに置いた花が上下左右逆に映っている。水滴が凸レンズの役割をしているためだ。水やガラスなどで球形をしているものを見てみると、遠くのものは上下左右が逆に見え、接するくらい近くの物はルーペで見るように大きく見える。雨の日などに葉の上についた水滴を見ると、葉脈が大きく見えることがあるのは、このためだ。水滴は昔からある自然のレンズだ。

2024年7~8月 シャボン玉の破裂

シャボン玉にダーツの矢をあて、割れていく様子を撮影した。矢が飛んできたことを赤外線で検知し、撮影用のフラッシュを発光させるまでの時間差を遅延回路でつくる。遅延時間を調節すると、シャボン玉が割れていく様子をいろいろな段階で撮影できる。ダーツの矢が通り過ぎても、シャボン玉はまだ半分ぐらい残っている。割れるといっても、粉々に飛び散るのではなく、ゴム膜がちぢむように小さくなり、やがて滴となって落ちていく。家の中でシャボン玉を膨らますと、床などがシャボン液でよごれるのはこのためだ。

2024年9~10月 落ち葉

サクラ(ソメイヨシノ)の木の下を歩いていると、様々な色の落ち葉が目に入った。派手な色ではないが赤や黄色の葉の中に、まだわずかに緑色が残っている葉もある。黄色は葉にもともとあったカロテノイドという色素が、また赤色は紅葉の頃に生成されるアントシアニンという色素が関係している。1枚の葉の中のグラデーションもきれいだ。持っていたカメラのレンズを真下に向けてシャッターを切った。上の太い根はフジの根。

2024年11~12月 指先からの放電

冬の日、暗いところで黒い下敷きを手のひらでこすっているとチリチリと音が出始め、手のまわりが光り始めた。指先を下敷きから離していくと指先と下敷きの間で、火花放電が肉眼で見えた。写真は、その放電のようすを高感度ビデオカメラで撮影したものだ。放電の距離は8cmほどで、下敷きの表面を走る火花も写っている。指先と指先を近づけても火花放電がおこる。乾燥した日に、ドアノブなどを触ると火花が見えるのも同じ現象だ。