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2022年 自然科学写真シリーズ

写真:伊知地 国夫

2022年1~2月 CDの虹色

CDを手に持って光を当てると虹色のすじがみえる。ところが、もともとCDには特別の色はなく、アルミニウム層の金属光沢があるだけだ。虹色が見えるのは、データのトラックが1mmあたり600本もあるためだ。このような微細で規則正しい構造に光があたると、光は波の性質をもつため回折という現象を起こし、回折した光が干渉して虹色が生まれる。光源の高さをCDの中心に合わせ、光源の光越しにCDを見ると同心円状の虹色が見える。

2022年3~4月 オキナグサ

宮沢賢治の「おきなぐさ」という短編には、オキナグサの花の近くを歩くアリの視点で話が書かれている。人の目からは赤黒く見える花びらは、太陽の光にかざしてアリがみるとまたちがった色に見えるはずだ。写真は、太陽の直射日光を逆光気味に当てて撮影した。花びらは透き通って赤く、葉や茎に密生する細い毛は白く輝いて見える。キンポウゲ科の多年草で4月~5月に開花する。生育地が減少し絶滅危惧種に指定されている。

2022年5~6月 集積回路(IC)

パソコン、スマホなど多くの電子機器には集積回路(IC)という、多くの回路を1つのチップに組み込んだ素子が使われている。チップの内部は普通見えないが、ICの一種のEPROMと呼ばれる素子は石英ガラスの窓から直接回路が見える。このタイプの素子は最近使われることが少ないが、回路を見るには適している。写真は顕微鏡で拡大したEPROMの一部で、左側がデータの保存領域、右側は入出力を制御する部分だ。整然と並んだ回路と配線のパターンは、工芸品的な美しさを感じる。

2022年7~8月 水の膜

ペットボトルを蛇口の下に置き水流をふたにあてると、跳ね返った水流は広がって水の膜ができる。広がるにつれて膜は薄くなり、水はふちから表面張力で水滴にわかれていく。水流の強さを変えると、膜が閉じて風船のようになったり広がって傘のようになったりする。いろいろな強さの水流をあてて、水の膜の形を撮るのも楽しい。スマートホンのスローモーションモードで動画を撮影すると、膜の動きが良くわかって興味深い。

2022年9~10月 リーフ写真

植物の葉などに含まれる葉緑体は、光が当たると光合成の働きでデンプンをつくる。そこで、デンプンができたことを目に見えるようにするため、ヴァイオリンの写真を白黒のネガ状にして葉に貼り、数時間直射日光を当てた。白黒ネガの透明の部分は光がよく通り、その部分の葉にデンプンができる。葉を切り取り葉緑素を取り除く処理をしたあとヨウ素液に浸すと、光が当たったところが青紫色になり、葉にヴァイオリンの像が現れた。

2022年11~12月 水面にのる水滴

水面にスポイトで水をたらすと、時々水滴が水面にのることがある。水面にのった水滴をずっと見ていると、面白いことが起こる。水滴はしばらくすると水面に引き込まれ、その時に一まわり小さい水滴が残り、何回か跳ねて水面にのる。これを繰り返してさらに小さな水滴になっていく。水滴が跳ねるときは、まるでトランポリンの上のようだ。見なれている水面の上で、まだ見たこともない面白い現象がみつかるかもしれない。