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2020年 自然科学写真シリーズ

写真:伊知地 国夫

2020年1~2月 薄氷の結晶

カップ麺などの断熱性の容器に水を入れ、冷凍庫で冷やす。表面に氷が薄く張ったころに取り出して2枚の偏光板の間にはさむと、鮮やかな色彩が現れる。このような色彩は、偏光板の間に入れたものが複屈折という光学的な性質を持つときに現れる。多くの結晶は複屈折性を持ち、氷も結晶の集まりであることがわかる。結晶粒の大きさは水を凍らすときの温度(冷却の速さ)などにも影響を受ける。写真の氷を作る時にたまたまドライアイスを近くに置いていたため、小さい結晶粒ができていた。

2020年3~4月 ミルクの塔

ミルクの跳ねるようすは面白い。平らな面に落とすと王冠状のミルククラウンに、容器に溜まったところに落とすとこけし状に跳ね返る。写真は、容器に溜まったところにミルクの液滴を連続して垂らし、こけし状に立ち上がったところに、次に落ちてきたミルクの液滴が衝突してできたものだ。衝突のタイミングのわずかな違いて、傘状になったりこの写真のように塔のようになったりと、様々な不思議な形が生まれる。

2020年5~6月 水滴の動き

水道の蛇口から水を流し、水量を減らして細い流れにしていくと、あるところから水流が水滴に分かれる。この部分の水滴のようすをフラッシュの光を当てて、瞬間的な形を撮影した。落下中は無重量状態になり、水滴は振動しながら様々な形になっていることがわかる。撮影するたびに異なった形が撮れるため、いろいろなパターンを並べてみた。最終的には、表面張力で球になっていくが、その過程での水滴の形の変化はとても興味深い。

2020年7~8月 色のついた影

スプーンとフォークの前から赤、緑、青のLEDの光を7cmほどの間隔で横に並べて当て、そのときにできる影を撮影した。物の影はふつう黒い色をしているが、この影には色がある。これはスプーンなどで光がさえぎられ、赤い光だけが当たらなかったところは、青と緑が混ざって青緑(シアン)に、青が当たらないところは黄(イエロー)に、緑が当たらないところは赤紫(マゼンタ)になったからだ。

2020年9~10月 プラスチックの虹色

透明なプラスチック製品を、2枚の偏光板の間に入れて撮影をした。1枚の偏光板の上にのせるだけでは色彩が生まれないが、もう1枚の偏光板を背景が最も暗くなるように重ねると、鮮やかな色彩になる。プラスチック製品の多くは、温度を上げて柔らかくした材料を製品の形にしてから冷やすので、複屈折性などの光学的な性質が均質にならずに残ることがある。このちがいは目では見えないが、偏光板の間に入れると色の違いとなって現れる。

2020年11~12月 揺れる懐中電灯の軌跡

懐中電灯の豆電球が直接見えるようにするため、反射板のある先の部分を外し、天井から糸で吊り、真下にカメラを上向きにして三脚で固定した。部屋を暗くして懐中電灯を楕円を描くように手で勢いをつけて放し、カメラのシャッターを開けたままにして、豆電球の光の軌跡を撮影した。コンピューターグラフィクスで描いた図のように見えるが、吊られた物が揺れたときにできる自然の形だ。