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2019年 自然科学写真シリーズ

写真:伊知地 国夫

2019年1~2月 音の記録溝

エジソンによる蓄音機の実用化から約140年が経った。写真右はその蓄音機の円筒管表面の記録溝を拡大したものだ。音は針の深さ方向の振動として記録されている(1mmに約2本)。中央は、LPレコード盤の記録溝で横方向に音の振動を記録する(1mmに約13本)。左はCDの記録のようすだ。振動の形をそのまま記録するのではなく、音をデジタル化し、その数値を窪み(ピット)の配列で記録する(1mmに600本)。140年の間に変化した音の記録方法は、これからどのようになっていくのだろうか。

2019年3~4月 ボルボックス

ボルボックスは淡水に生息する緑藻プランクトンだ。球体の表面にある粒々はボルボックスの体細胞で葉緑体を持ち、またそれぞれが2本の鞭毛を持っている。葉緑体で光合成を行い、同時に鞭毛でくるくると回りながら移動する。顕微鏡で撮影をしていると、照明の視野に回りながら集まってくるようすはとても面白く、光に対して正の走行性をもっている。普通の環境では無性生殖をおこない、球体の内部に子どもの球体ができ、それが成長して親を破って生まれてくる。(撮影倍率25倍 暗視野照明)

2019年5~6月 スーパーボールの弾む軌跡

スーパーボールを床に弾ませ、その動きの様子を1枚の写真に写した。暗いところで、カメラのシャッターを開けたままにして、弾むスーパーボールに一定の間隔で発光するフラッシュの光を当てた。跳ね上がったボールには重力だけが働くので、空中にある間放物運動をする。このためボールの軌跡が上向きの放物線になっていることがわかる。また、跳ね返る時にエネルギーが失われ、頂点の高さがしだいに低くなっていく。

2019年7~8月 シャボン玉

直径15cmほどの輪にシャボン膜を張り、大きく振ると膜は伸びて円筒状になり、端は膜の張力で丸くくびれ、やがてちぎれていく。元のシャボン液自体には色はないが、膜が薄くなると、膜の上と下で反射した光が干渉して鮮やかな色彩が生ずる。万有引力の研究で有名なアイザック・ ニュートンもシャボン膜の色の精細な観察記録を残している。身近であっても奥の深い興味深い現象だ。

2019年9~10月 ポップコーンの種子の破裂

ポップコーンはトウモロコシの種子を炒り、破裂させてつくる。表皮の固い爆裂種と呼ばれる種類の種子を使う。種子内部に含まれている水分が水蒸気となり、種皮が固いため圧力が上がって破裂し、ポンッという音とともに飛び上がる。飛び出した白い部分は胚乳で、もともと種子の発芽とその後しばらくの成長のために、デンプンを主体とする養分を蓄えている部分だ。種子の下に泡立って見えるのは油。秒1万コマの高速度カメラで撮影した。

2019年11~12月 氷

冬の日の午前9時ごろ、川の水面の波を撮影していた時のことだ。前日に降った雨で、水たまりが川岸にできていた。その日は寒く地表近くは氷点下になり、水たまりの水は所どころが凍っていた。下を向くと足元の水たまりに氷が張っていた。水面に向けていたレンズを下に向け、氷がつくる模様を撮影した。水が氷になる時、様々な条件の変化が氷の形を変えていく。この形も、どのように氷が成長していったかを考えるととても興味深い。